正臣のガレーヂ日記

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アメリカ自動車界の巨星、94年の生涯を全う

アメリカの自動車大手、フォード・モーターの社長やクライスラー*1の会長を歴任したリー・アイアコッカ氏が、2日に逝去した。享年94歳だった。

 

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フォードの販売部門で頭角を現したアイアコッカ氏は、'60年に同社の主力ブランドに当たるフォード部門のトップに就任。'64年に初代モデルが発売された中型クーペ「マスタング」の開発を指揮するなど、同社の躍進を支え、'70年には社長に就任した。

 

しかし会長だった創業家ヘンリー・フォード2世と経営方針などを巡って衝突、'78年に社長職を解任されるが、翌'79年にクライスラーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。

 

当時2度の石油ショックで新車需要が大きく落ち込み、ビッグスリーの中でも規模の小さかったクライスラーは深刻な経営危機に陥っていた。そんな逆境下の中でアイアコッカ氏は就任直後に米政府から15億ドルの債務保証を取り付けるなど会社救済に剛腕を発揮し、大幅なコストの抑制も推し進めた。'92年にクライスラーを退社後も電気自動車の会社を発足させるなど常に自動車業界に関わり続けた。

 

アイアコッカ氏というと、'80年代の日米貿易摩擦を巡っては「日本が守るべきなのは自国市場ではなく米国市場だ」と主張し、円安是正や市場開放を訴える一方、フォードの社長だった頃にホンダが開発した低公害エンジン・CVCCの技術供与を受けて、自社の車種への導入を打診したというエピソードもあったといわれる。

 

アメリカの自動車業界においてかなりの強硬派だったという印象があったけど、優れた技術を積極的に取り入れようという姿勢をも兼ね備えた氏の功績は、後世に語り継がれるだろう。

*1:現在のフィアット・クライスラー・オートモビルズ