正臣のガレーヂ日記

プライベートな日記から新型車の一言レビュー、時事ネタまで他愛なく書いております。

再び注目される旧東ドイツ車・トラバント

ネットニュースを読んでみると、毎日新聞より発信されたこんな記事を発見した。

 ドイツは各都市の中心部に極めて厳しい排ガス規制を敷いているが、他方で30年以上の古い車を「歴史文化財」として規制対象から外している。東西ドイツ統一から20年、こうした例外扱いもあって首都ベルリンでは、旧東独時代の懐かしい小型車トラバントが健在だ。街を行く愛らしいトラバントの人気は、時を経るほど高まっている。

 トラビの愛称で親しまれているトラバント。ベルリンの壁が崩壊した89年、トラビは列をなして旧国境から西を目指した。トラビの姿は西独市民にも歓迎されたが、ほどなくして技術の遅れた社会主義体制の象徴として冷笑された。ラジオだけで暖房さえない内装。ブリキの代用品だった繊維入り樹脂の車体は「厚紙製」とからかわれた。

 だが、「ここ数年、トラビを見る人々の視線はどんどん温かくなっている」とベルリン郊外の所有者、ミヒャエル・カイザーさん(47)は言う。確かにトラビが街を行くと意外に多くの人々が手を振っている。路肩に駐車したトラビも見物や撮影の対象だ。

 「だれにでも修理できる単純な造りと部品の入手のしやすさが人気の秘密」と別の所有者ユルゲン・ティーツェさん(57)は解説する。歴史文化財としての登録台数は、フォルクスワーゲン「カブト虫型」が最も多く約5万台。トラビは次に多く3万台を超える。これらに共通しているのは、入門者でも学びながら修理や改造を楽しめる構造の単純さだ。

 トラビの部品が入手しやすいのには、ドイツが東西に分断されていた事情もある。ティーツェさんによると、物資難がやってくるのを恐れた東独市民はブレーキなどの代替部品を地下倉庫に買いためた。部品メーカーだった東独の政府系公社が壁崩壊後に解体され、さまざまな部品が鉄くず同然の値段で大量流出したという。

 排ガス規制の例外は、愛好家が署名活動をするなど奮闘し、06年に制度化された。連邦議会では09年4月、超党派議員によるクラシックカーの会まで発足した。一方でティーツェさんの仲間ディーター・グロスマンさん(65)は「古い車の禁止をもくろむ自動車産業や政治家の力は絶大だ」とこぼす。車のユーザー団体「ADAC」(日本のJAFに相当)のニーダーマイヤー広報官は「私たちは都市部での自家用車の排ガス規制撤廃を求めている」と意気込んでいる。環境大国ドイツで車と環境対策は激しくせめぎあいを続けている。

日本でも近年、ハイブリッドカーや電気自動車といった次世代車への注目が集まっている。しかしその一方で、9月まで行われた「エコカー補助金制度」に伴う新型車への買い替えにより、廃車となった13年以上*1前に生産された車が、リサイクル工場に溢れる事態にもなった。

…長年オーナーさんの下で愛用され、歴史・文化的な価値を持った旧車への手厚い保護が得られるよう、メーカーのみならず国土交通省や経済産業省といった関連省庁をも動かすような声が、旧車オーナーさんの間から出てきて欲しいところだ。

*1:登録初年より13年経た普通車は、自動車税が1割増になる