日産自動車が無資格の従業員に新車の検査をさせていた問題で、9月に国から指摘を受けた後も全6工場のうち4工場で、検査に無資格者が関わっていたことが判明した。同社は19日までに全6工場で新車の出荷を停止。在庫車を含め約3万4千台が再検査が必要になり、顧客に渡った約4千台は、すでに届け出た約116万台に加えてリコール(回収・無償修理)する。
今回新たに判明したのは追浜工場(神奈川県横須賀市)など4か所で、そのうち3か所では18日までブレーキ性能などを最終確認する完成検査の一部を、規定の「検査ライン」の外側で実施していたとされる。
今回の1件を受けて、西川廣人社長は「信用して買っていただいた皆さんの信頼を裏切ってしまった」と謝罪した。出荷停止は再発防止策が整ってから解除する意向で、少なくとも2週間はかかる見通しとなる。
日産での無資格検査という「悪しき慣習」は当初の予測以上に根が深く、リコール制度導入のきっかけとなった昭和43年〜44年のマイクロバス「エコー」でのドライブシャフト脱落問題以降大きな不祥事とは無縁の印象があった日産にとっては、大きな痛手を更に深める事態となってしまった。…それだけに日産には、多くのユーザーのためにも社を挙げて管理体制の抜本的な改革が求められるし、そうしないことには三度再発してしまうのではというぐらいの危機感を持って臨む必要があるといえるだろう。