日産自動車のカルロス・ゴーン会長が、自身の報酬を過少申告した疑いがあるとして、東京地検特捜部が金融商品取引法違反の容疑でゴーン会長を任意同行したことが解った。事情聴取を行って、容疑が固まり次第逮捕する方針だ。
ゴーン会長は平成11年に当時経営難に陥っていた日産にフランスの自動車大手・ルノーよりCOO(最高執行責任者)として派遣され、翌年より社長兼CEO(最高経営責任者)に就任し大規模な経営再建策を打ち出すなど大胆な経営手腕で業績の回復に貢献。平成17年よりルノーの社長にも就任、平成28年には燃費数値の不正問題を受けて経営不振下にあった三菱自動車工業との提携も主導し、同年12月より三菱自工の会長にも就任。翌年3月末に日産の社長職を西川廣人社長に譲るカタチで退任~会長に就いた。
…徹底的にコストを削るその経営手腕から「コストカッター」とも呼ばれ、自動車業界のみならず広く大きくその名を知らしめたゴーン会長。日産では昨年9月に完成車の出荷前検査を検査員資格を有しない工場職員が行っていたことが発覚し、一時完成車の出荷が停止する事態になったのが記憶に新しい。その翌月にスバルでも完成車の無資格検査が発覚してから、数社のメーカーでも燃費数値や排気ガス規制値の不正が相次いで発覚するなど、日本の自動車業界を揺るがす大きな問題となった。
一連の無資格検査問題からの信頼回復に向けて道半ばの中で経営トップの逮捕に至るという重大スキャンダルには、昨年よりゴーン会長の後を受けて就任した西川社長ら経営陣の進退を含めての責任問題や、実質的に見て主力車種のノートやセレナ頼みともいえる新車販売にも大きく影響が及ぶ事態も避けられないだけに、この逆境に対しどのように向き合うのか、日産の企業姿勢の在り方が大きく問われる。
…また、別のソースからの情報によると、日産社内では内部からの通報を受け、数か月にわたって内部調査を行っていて、ゴーン会長が長年にわたり報酬額を実際よりも減額して有価証券報告書に記載していたことが判明。同社の資金を私的に支出するなど複数の重大な不正行為もあったといい、ゴーン会長や同じくルノー出身のグレッグ・ケリー取締役についても速やかな解任を取締役会に求める方向に動いているそうで、どうも日産取締役の内紛が発生~表面化しだしたという見方もあるようだけど、その真相の全容がどのように解明されるのだろう。