正臣のガレーヂ日記

プライベートな日記から新型車の一言レビュー、時事ネタまで他愛なく書いております。

「あの車、どう?」~第312回~

今回のニューモデル紹介日記、今回はトヨタの高級オフロード4WD・新型ランドクルーザー・300シリーズを紹介したい。

 

response.jp

現行トヨタ車の中では最長の歴史を誇るランドクルーザーは、1951年8月に強力なエンジンを備えた四輪駆動車「TOYOTA BJ型」として誕生。以降、世界各地で人の命や暮らしを支える、また、より豊かな人生を支える存在として進化を続け、これまで世界170の国と地域で累計1060万台、年間30万台以上を販売している*1

 

今回フルモデルチェンジとなった新型ランドクルーザー(300シリーズ)は、2007年に登場した200シリーズの後継モデル。「信頼性・耐久性・悪路走破性は進化させつつ継承」「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」を開発テーマに、長年にわたる技術の積み重ねと最新技術を融合し、素性を刷新した。

 

従来のフレーム構造を踏襲しながらも、TNGAに基づく新GA-Fプラットフォームを採用。最新の溶接技術の活用等により、高剛性(従来型比+20%)かつ軽量なフレームとし、衝突安全性能、静粛性、走りの質を向上させた。ボディも高張力鋼板の採用を拡大したほか、ボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミニウム化。また、パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動。これらにより約200kgの軽量化、低重心化、前後重量配分の改善を果たしている。

 

プラットフォームの刷新に伴い、足回りには新開発のハイマウント・ダブルウィッシュボーン式(フロント)とトレーリングリンク車軸式(リヤ)のサスペンションを採用する。リヤサスペンションはショックアブソーバーの配置を最適化し、乗り心地と操縦安定性を向上。また、サスペンションアームの配置変更により、ブレーキング時にも安定した車両姿勢を維持する。

 

悪路走破性向上のため、ホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も向上。路面状況や運転操作に応じ、ショックアブソーバーの減衰力を四輪独立制御するAVSにはリニアソレノイドタイプを採用し、操縦安定性と乗り心地の両立を図った。

 

過酷な環境下での使用に耐える油圧式パワーステアリングには、電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせた。これにより、レーントレーシングアシストなど、操舵支援機能の追加が可能になったほか、低速時の優れた取り回しや悪路走行時のショック(キックバック)を低減。すっきりしたステアリングフィールなども併せて実現した。また、よりリニアな制動特性を得られる電子制御ブレーキシステムを採用。ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出する。

 

リヤタイヤのトラクション性能を確保するトルセンLSDを採用。旋回加速時には後左右輪の荷重に応じて駆動力を最適に配分し、高いコントロール性能を実現。直進では路面状況の変化にレスポンスよく反応し、安定性の確保に貢献する。

 

マルチテレインセレクトでは、タイヤの空転によるスタックや、駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を、6つのモード(AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCK)から選択できる。モードごとに駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、走破性を確保。また、動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡大し、より広い範囲のオフロード走行に使用できる機能とした。

 

マルチテレインモニターは、車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートする。フロント・サイド左右・リヤに搭載したカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替えることで、死角になりやすい車両周辺の路面状況を確認できる。また、フロント画面表示中に車両を停止させれば、車両下の状態や前輪の位置が確認できるアンダーフロアビューにも切り替え可能。さらに後輪周辺をクローズアップして大きく表示する新ビューを追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感を把握でき、スタックや行き止まりからの脱出に力を発揮する。

 

12.3インチディスプレイには、ランドクルーザー専用表示として、オフロード情報表示画面を新設。傾斜計、デフロックのオン/オフ、アクセル・ブレーキワークなどを大画面に表示することで車両の状態を直感的に把握できる。

 

パワーユニットは3.5リットルガソリンまたは3.3リットルディーゼルV型6気筒ツインターボエンジンを用意する。新開発の3.5リットルV6ツインターボガソリンエンジンは、最高出力415ps、最大トルク650Nmを発生。マルチホール直噴インジェクタ付D-4STの採用やロングストローク化、バルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ツインターボが力強い低速トルクと優れた過給レスポンスを生み出す。

 

3.3リットルV6ツインターボディーゼルエンジンは、ピストン燃焼室、吸気ポート、インジェクタといったエンジン各部の構造を最適化し、309psの最高出力、700Nmの最大トルクと、優れた燃費性能を両立した。また、可変ノズル付2ウェイツインターボを新採用。あらゆるシーンで爽快な加速感をもたらす過給性能を実現し、低速域ではシングルターボの高レスポンスによる力強い加速に、高速域ではツインターボの大吸気量によるのびやかな加速に寄与する。

 

トランスミッションはV6ツインターボエンジンの性能を引き出すダイレクトシフト10ATを組み合わせる。発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現。また10速化により、ギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、リズミカルで心地の良い走りのリズムと、高速燃費の向上、発進加速・オフロード性能の向上を同時に果たしている。

 

さらに、ガソリン・ディーゼル、各エンジン向けに駆動力特性と変速タイミングを最適化。ガソリンエンジンでは高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を、ディーゼルエンジンでは低回転から盛り上がるトルク特性を生かし、ドライバーの意思に寄り添った力強い加速を実現している。

 

車体外形は全長・ホイールベースなどボディサイズ、ならびに対地障害角(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークアングル)を従来型から変えず、オフロード走破性にもつながる扱いやすさを継承。また室内については、フロント着座位置を後方に移動しつつ、セカンド・サードシート構造・配置を見直し、居住性・荷室容量の向上と衝突安全性能を両立させた。サードシートはフロア格納式とした。

 

エクステリアデザインは、キャビンを後ろ寄りに配置する、キャビンバックワードプロポーションとしている。また、ラジエーターグリルをヘッドランプとともに高い位置に配置。前後バンパーの下部も障害物をいなすような造形とするなど、オフロード走行時の機能性を重視したデザインとしている。また、エンジンフードには大きな凹みを設け、衝突安全性能と前方視界の両立を図った。

 

インテリアは、オフロードなど過酷な環境でも、よりスムーズな運転操作、ドライバーが快適さを実感できる運転環境を創出している。インストルメントパネル上部は水平基調で、過酷な路面変化の中でも車両姿勢を把握しやすい形状とした。

 

また車両状況が把握しやすいよう、スピード・エンジン回転・燃料・水温・油圧・電圧が直感的に視認できる、6針式のメーターを採用している。ドライブモードセレクト、マルチテレインセレクト、ダウンヒルアシストコントロール、クロールコントロールのモードセレクトは1つのダイヤルに統合。モニターを見ながら操作できる最適な位置に配置している。

 

快適性にも配慮し、温熱シートとシートベンチレーションをフロントシートに加え、セカンドシートにも装備する。また、ペットボトル飲料などを保冷できるクールボックスを設定。さらに車室内を快適な空気環境に導く「ナノイーX」を全車標準装備する。12.3インチのワイドタッチディスプレイは、ナビ・オーディオ・空調表示だけでなく、オフロード機能もビジュアルでわかりやすく表示。さらに最大3名分の車両設定(ドライビングポジション、エアコン等の室内設定、メーター等の表示設定)を記憶させるマイセッティング、リヤバンパー下に足を出し入れするだけでバックドアが自動開閉するハンズフリーバックドアを採用する。

 

安心・安全装備では、指紋認証スタートスイッチをトヨタ初採用する。スマートキーを携帯し、ブレーキを踏みながらスタートスイッチ上の指紋センサーにタッチすると、車両に登録された指紋情報と照合。指紋情報が一致しなければエンジンが始動しない機構としている。

 

また、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を採用。歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼)を検知し、衝突回避または被害軽減に寄与するプリクラッシュセーフティに、交差点での対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者の検知機能、ドライバーによる回避操舵をきっかけに操舵と車線逸脱抑制をサポートする緊急時操舵支援機能を追加した。

 

さらに、駐車時などの低速走行時における衝突被害軽減に寄与するパーキングサポートブレーキを採用したほか、アクセルの踏みすぎや踏み間違いを検知するとクルマの加速を抑制するプラスサポートを設定する。

 

高性能スポーツグレード「GRスポーツ」をガソリン車・ディーゼル車それぞれに設定する。長年のダカールラリーへの参戦経験を踏まえ、「モータースポーツを起点にしたもっといいクルマづくり」を実践し開発された。ダカール参戦ドライバーからのフィードバックを開発に生かし、過酷な運転環境でも安心して運転しやすく疲れないクルマを目指した。

 

足回りでは、電子制御でスタビライザー効果を変化させるE-KDSSを世界初採用する。E-KDSSは、前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じてより細かくスタビライザー効果を調整。市街地での走行安定性とオフロードの走破性を高次元で両立させる。また、リヤに加えてフロントにも電動デフロックを搭載。様々な悪路環境において、より優れた走破性を発揮する。

 

エクステリアでは専用のラジエーターグリルやバンパー、マットグレー塗装の18インチアルミホイールなどを装備。インテリアでは専用の本革巻きステアリングホイールやフロントシートなどを装備する。

 

なお、トヨタ車体のチームランドクルーザーTLC)は、このGRスポーツをベースとした車両で2023年以降、ダカールラリーに参戦する予定だ。

 

…初代モデルとなる「トヨタ BJ」の発売からちょうど70年という節目の年にモデルチェンジされた新型ランドクルーザー。シリーズの頂点と呼ぶに相応しい最新・最高の技術をふんだんに盛り込むとともに、歴代モデルが長年培ってきた高い信頼性・耐久性を継承し、更なる融合が図られている。

 

国内向けモデルではトヨタSUVラインナップにおけるフラッグシップと位置付けられることから、装備の充実している中・上級グレードがメインとなっていて、ベーシックな「GX」でも一通りの快適装備が揃っている。しかし海外の輸出先によっては装備を必要最小限に抑えたグレードも設定されていることから、高い信頼性・耐久性といったランドクルーザーの持つ本来の素性を発揮したいというユーザーや官公庁など向けに設定があっても良かったと思う。

*1:レクサスLX、GXを含む